- 日時 平成28年2月5日 17:30より
- 場所 於田島柳原
- 講師 日田市文化財保護課町並み保存係 嶋崎主幹、坂本主査
- 内容 伝建事業について
イ. 伝建の近況
国
選定地区数 全国で110地区。
選定基準
1) 伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀なもの
(例: 佐賀県鹿島市浜中、倉敷市、京都市祇園新橋)
2) 伝統的建造物群及び地割が良く球体を保持しているもの
(例: 日田市豆田町、朝倉氏秋月、日南市、京都市上加茂)
3) 伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示しているもの
(例: 沖縄県竹富町、宮崎県椎葉村、うきは市筑後吉井)
文化庁予算 前年比約1割(2億)減となっている
市
平成27年度までの伝建事業実績。
1) 特定物件
建造物 173棟。工作物 86件。環境物件 40件。
2) 保存修理事業(間接補助) 平成17年度~現在
棟数 41棟(49件) 補助額 累計約3億4600万円。
3) 防災事業(屋外消火栓設置) 37か所計画。
過去累計 18か所。平成28年度4か所予定。
ロ. 文化庁、大分県からの指導事項
1) 伝統的建造物群の長期的維持管理を支えるため、地元の設計者・施行者を育てる事が重要である。
2) 適切な積算・・公共単価(建物・積資等)などに倣うこと。
3) 特殊資材の単価・・複数社の見積を取る。当該年度の準公共単価として定める等により、その妥当性を説明できるようにする。
4) 会計規則の順守・・補助事業遂行のために契約を締結し、叉は支払いをする場合においては市町村の法令の定めに準拠して実施する。
5) 近年の全国的事例として下記のような事が認められる。
A 修理工事の積算に際し、一括して複数の工務店に見積依頼した。
B 同積算に際し、数量計算せずに一式を多用している。
C 見積による単価が市場価格と余りにかけ離れていた。
D 申請時計上していた項目で実際使用しなかったものがそのまま実績に計上されていた。
E 写真整理について
完成写真・・見開きで「着工前」-「完成」とし、同じ撮影方向。
工程写真・・細かい部分の写真は遠近で撮影。計測器、コンベックス等当てて撮影する。
検査、立会・・主たる資材の検査や納品時の管理者立会写真。
その他・・必要に応じて撮影・提出。
設計図は「現況図」「復原図」「計画図」が基本。
F 会計検査院による実地検査関係
・補助金の流れが確認できるように領収書などを提出する事。
・明確な数量の計上。
・監理者の写真が少ない。
・一棟当たりの復原率の資料提出。
G その他
・伝建事業全国大会「日田大会」平成30年度に行われる。
・文化財保護課現住所より下記に移転。
田島2丁目6-1日田市役所別館(教育委員会棟)2階。
* 質 疑
文化財行政での保存修理を円滑に進める。
・市事務局の動きは?・・地区住民と綿密な打ち合わせ、協議。
・施主と施工業者や設計者との打ち合わせ等に必ず立会う。
伝建修理による単価構成について。
・伝建以外の建築物の単価構成と同等では難点がある。
・伝建建築物は、特殊技術を要する。一項目の施工数量が小さい。
施工環境は劣悪でスムーズな作業が出来にくい。
伝建建築物の専門技術者の育成・・市全体として対応すべき。
市役所各課との横の連絡を密にすべき。
現状のような利益体制では、後継者の育成は民間では厳しい。
等 々
※お知らせ
次回の内容 木材の種類・木仕口、継手等